牛肉
こんにちは、山口です。
2014年最初の医食同源でとりあげるのは、景気良く牛肉でいきたいと思います。
ご馳走や値段の高い食べ物というと、最近では珍しい魚介や外国産の高級食材などいろいろありますが、昔から定番として人気があり、しかもよく食されるものとして、牛肉が挙げられるのではないでしょうか。
お祝いやおめでたい時に食べる、あるいは給料やボーナスが出たので奮発する、
などのケースで焼肉やステーキ、しゃぶしゃぶなどが選ばれることが多いと思います。
その一方で、牛丼やハンバーガーなどの手軽なファーストフードでもやはり牛肉の人気は高く、もちろんどんぐりのようなお好み焼・鉄板焼のお店でも牛肉は定番中の定番の食材です。
ところで、関西では肉と言えば普通は牛肉を指します。豚肉の場合は基本的に豚と言い、実際に関西では肉まんのことを豚まんと言う呼び方で定着しています。
カレーや肉じゃがに用いるのも一般的に関東では豚肉ですが、関西では牛肉です。
これを冗談好きな関西人は、「関西の方が口が肥えてるから高い牛肉の方をみんな食べるんや」などと言いますが、もちろんそんな単純な理由ではなく歴史的な経緯があります。
日本では仏教などの影響もあり、獣肉食はそれほど普及していませんでした。
牛や馬などの家畜は農耕や荷物運びのために飼われることが多く、動物性タンパクとしては魚と鳥が主流を占めていたということです。
この頃、関西では牛が、関東では馬が多く飼育されていたと推測されています。
東日本は寒冷な気候のため、短い農耕可能な期間でも役立つ、動きが機敏な馬が選ばれ、温暖な西日本ではスピードよりもパワー重視で牛が選ばれたということです。
明治維新以降、欧米の文化や技術などが導入されるのに伴い、肉食が広まった際、
関西ではそのまま牛の肉が、関東では肉の量が少なく飼育の効率の悪い馬よりも
肉が多くて飼育効率の高い豚の肉が普及した、という流れだそうです。
牛肉を食べない、あるいは豚肉を食べない等の食のタブーは世界にも色々ありますが、
基本的にタブーが無い、またはほとんど意識していないのが日本人であります。
メジャーな料理の、やはりメジャーなメインの具材が、地域でキレイに分かれている、
しかも異なるメニュー(カレー&肉じゃが)なのに具の組み合わせが東西で同じ、
というのもまた日本らしくて面白いところかもしれません。
ちなみに、肉じゃがの誕生伝説では、帝国海軍の東郷平八郎元帥が留学中に食べた
「ビーフシチュー」の味が忘れられず、同じものを部下に作らせようとしたものの、
シチューを知らない料理長がワインやドミグラスソースの代わりにしょう油と砂糖で
牛肉を煮たのが始まりだとされています。そうしますと、本来の肉じゃがは牛肉を使う
関西風が正統であるということになると思います。
現在、肉じゃが発祥の地を主張しているのは京都府舞鶴市と広島県呉市ですが
どちらも西日本ですね。
一方、東郷元帥の出身も西日本の鹿児島県(薩摩藩)なのですが、
牛の産地でもあるものの、どちらかというと豚の産地として有名です。
それもまた面白いですね。
牛肉に含まれる栄養分としては、やはりタンパク質や脂質が豊富で、
豚肉や鶏肉と比較した場合、鉄分やビタミンB12、ビタミンEが多く含まれています。(ビタミンAや必須アミノ酸は鶏肉が、ビタミンB1&B2は豚肉が優ります。)
鉄分は血液内の赤血球に含まれるヘモグロビンを作る元となり、非常に大切な
ミネラルです。ビタミンB12は造血作用があるので、鉄分と一緒にとれる牛肉は、
貧血や冷え症の方には特に効果が期待できます。また鉄分はそのままだと吸収されにくい栄養素ですが、ビタミンCは鉄分の吸収を促しますので、ビタミンCを多く含む野菜や
果物と一緒にとれば更に効果的です。
今回のおすすめメニューは「牛すじとキャベツの辛ソースソテー」です。
ビタミンCたっぷりの新鮮なキャベツと、うま味たっぷりの牛すじ肉を、
どんぐり自慢の辛口ソースでソテーした、ごはんにもお酒にも合うアツアツの鉄板焼です。
それでは今回はこの辺で。