かいわれ大根
こんにちは、山口です。
今回の医食同源でとりあげるのはかいわれ大根です。
かいわれ大根という名前の通り、大根の種を発芽させたものです。
かいわれとは双葉のことで、二枚貝を広げたところに似ているのが由来だそうです。
このような、若い芽を食す野菜のことを英語でスプラウト(sprout)と言います。
最近では欧米のようにブロッコリーやマスタードなどの
スプラウトも流通するようになっていると言いますが、
かいわれ大根は日本では平安時代には既に食べられていたということです。
ですが、そんな長い歴史をもつかいわれ大根にも、実は消滅の危機がありました。
若い方たちはご存じないかもしれませんが、
1990年代の中ごろ、O-157大腸菌という当時としては
まだ耳慣れない病原菌による集団食中毒が、大きな問題となっていました。
その時、ある学校給食でのO-157集団食中毒の感染源が、
かいわれ大根である可能性が高いと厚生省(現・厚生労働省)から発表されました。
それ以降、かいわれ大根は市場から一斉に消えてしまい、
飲食店のメニューからも無くなり、生産業者の多くが
倒産に追い込まれるという、社会問題にまで発展しました。
ですが、この事件での感染源は最終的には特定することができませんでした。
それにより、かいわれ大根の安全アピールのため、当時の厚生大臣・菅直人氏が、
テレビカメラの前で不自然なぐらい大量のかいわれ大根を食べる
名(迷?)パフォーマンスを披露したことは、今でも語り草になっています。
その甲斐あってか(?)もしくはまったく無関係でもいいのですが、
今ではかいわれ大根はごく普通に流通しています。
集団食中毒というのは非常に痛ましい事故または重大な過失であり、
我々飲食業・食品製造業に携わる者が最も恐れるところですが、
安くて、美味しくて、健康にもいい食材であるかいわれ大根が
復活したことに対しては、素直に喜びたいと思います。
かいわれ大根に含まれる栄養素としてはビタミンC・K、
カルシウム、鉄、カリウムなどのミネラル、食物繊維などが豊富です。
ビタミンKはあまり聞きなれませんが、出血の際に血液を凝固させる
タンパク質の合成に必要であったり、カルシウムを骨に沈着させるタンパク質の
合成にも関わっていたりと、体を守ってくれる働きがあるそうです。
他にはイソチオシアネートという成分も含まれており、
これはガンの予防効果をも持つ解毒作用や抗酸化作用、殺菌効果など
非常に多くの働きをしてくれる成分です。
またメラトニンという成分は体内ホルモンの一種で、
免疫力を高めるほか、安眠を促すなどの効果があるそうです。
つまりかいわれ大根は、病気や怪我に対して威力を発揮してくれる野菜だったんですね。
今回のおすすめどんぐりメニューは「中華風ピリ辛豆腐サラダ」です。
切りそろえた豆腐とトマトに、レタスとかいわれ大根を添え、
ピリッと辛いドレッシングで召し上がっていただく、とてもヘルシーなサラダで、
どんぐりのサラダでは個人的にはイチオシです。
他のサラダも美味しくてヘルシーですよ。
それでは今回はこの辺で。