梅干し
こんにちは、山口です。
今週の医食同源でとりあげるのは「梅干し」です。
2012年7月14日現在、京都はまだ梅雨明けしていませんが、この梅雨について、
梅の実が熟す時期に重なるから「梅雨」という字を当てるという説があります。
(他にも複数の説があります。)
この梅雨が明けるのが、梅の実を天日で干す梅干しの仕込み開始の目安です。
梅の種の中身には、胃酸と反応して猛毒の青酸化合物に変化する物質が含まれており、
生のままかじって食べたりすると大変危険で命にもかかわるそうです。
ですが、梅干しにしたり、梅酒にするためリキュールに漬けたりすると、
毒性が失われ、食べてもほとんど害を及ぼさなくなるそうです。
ところで、梅干しの種の中身を通称「天神様」と呼ぶそうです。
天神様とは平安時代の貴族、菅原道真公を神様として祀った呼び名です。
これは歴史好きの私としては、大変興味をそそる名前です。
そこで、梅干しについて調べるついでに、天神様についても調べてきました。
なぜ梅干しと天神様に関係があるかと言うと、道真公が政争に敗れ、
九州の太宰府に左遷された時に、道真公の屋敷にあった梅の木が、
公を慕ってはるばる太宰府まで飛んで行った、という伝説に由来しているそうです。
太宰府天満宮にはその飛んできた梅だという、「飛梅」なる名前の木があります。
天神様を祀った神社、いわゆる天満宮は全国に存在しますが、
その中でも特に有名なのが、京都の北野天満宮と、太宰府天満宮ですね。
天神様と言えば学問の神様として、特に受験生の参拝が多いですね。
梅の花が咲く頃と言えば、ちょうど受験シーズンとも重なります。
その花が実となり、美味しくなって食卓に上り始めるのが、これからの季節なわけです。
梅干しには食物繊維やカリウムなどのミネラルが含まれている反面、
ビタミンやタンパク質、脂質などはほとんど含まれておらず、カロリーも低めです。
(はちみつ梅干しなどの調味梅干しですと、調味料の分だけカロリーは高くなります。)
ですが、昔から梅干しは健康食品として認知されています。
これはどういうことでしょうか?
梅干しの酸っぱさの素になっているのはクエン酸です。
この強い酸味が雑菌の繁殖を抑え、食中毒を防ぐ効果があるので、
お弁当に梅干しを入れるのが、特に夏場の食あたりを防ぐのに効果的なのは、
昔からよく知られていたということです。
日の丸弁当というと「質素な食事」の代表のようなイメージがありますが、
必ずしもそうではなく、美味しくごはんをいただくための知恵なんですね。
クエン酸にダイエット効果があるということについてはレモンの回で疑問符をつけました。
ですが疲労して乳酸が蓄積した状態で、ブドウ糖単体で摂るよりも、
クエン酸とブドウ糖を一緒に摂った方が、乳酸値を早く下げる効果があるそうです。
疲労全般について効果があるかは不明なものの、運動後には効果があるようです。
スポーツドリンクなどにクエン酸が含まれているものが多いのは、このためですね。
当然ながら、梅干しにも同様の効果が期待できるということが言えますね。
やはり遠足など外出先でいただくお弁当に梅干し、というのは相性が良いと言えます。
今回のどんぐりおすすめメニューは、シンプルに「おにぎり(2個セット)」です。
少し塩味のするほかほかの白ごはんの中には、味が濃い目の梅干しとこんぶの佃煮。
それに海苔を巻いて、しば漬を添えてお出しします。
何の飾りっけもないおにぎりですが、これこそ日本の味と言えるのではないでしょうか。
それでは今回はこの辺で。