梅酒
こんにちは、山口です。
今回の医食同源でとりあげるのは梅酒です。
約1年前にも、当ブログにて梅干しをとりあげましたが、
さっぱりした梅酒は夏の定番ということで、2年連続で梅の登場となりました。
私は自分で梅酒を作ったことはありませんが、
今は亡き祖母が作った梅酒に使った梅の実を食べるのは好きでした。
梅酒を家庭で作る時の一般的な製法は以下のようなものです。
雑菌の繁殖を防ぐために梅の実を天日で干し、
ビンなどの容器に梅と氷砂糖を交互に詰めていき、
焼酎やホワイトリキュールなどを静かに注いでいき、
密封したあと冷暗所で約3か月、長ければ1年以上寝かせます。
この時、なぜ粉砂糖ではなく氷砂糖を使うのでしょう?
これは物理・化学の用語の「浸透圧」(しんとうあつ)に関係があります。
浸透圧の効果を見ることができる、よく知られている現象と言いますと、
「ナメクジに塩をかけると、ナメクジが塩に水分を吸われて小さくなる」
というあの現象ですね。
他には、お風呂につかると指の皮膚がしわしわになる、などもそうです。
この言葉をご存じない、あるいは学生時代に習ったけど忘れた、
という方も、感覚としては理解していただけるのではないでしょうか。
かしこまった説明をしますと、
「同じ溶質と同じ溶媒で、濃度の違う液体を半透膜で仕切ると、
濃度が同じになろうとして、濃度の低い方から高い方へ、
半透膜を通して溶媒が移動しようとする、その圧力」のことです。
半透膜というのは「小さい分子は通すが大きい分子は通さない膜」のことで、
生き物の細胞を包んでいる細胞膜も、半透膜でできています。
当然ながら梅の実の細胞も半透膜で包まれています。
粉砂糖を用いて梅酒を作ろうとすると、粉砂糖はすぐにお酒に溶けます。
そうすると梅の実よりも糖分の高いお酒で満たされてしまうため、
お酒の糖分の濃度が下がるよう梅の実に外向きの圧力がかかり、
梅の実から水分がすぐに抜けてしまいます。
そうすると梅のエキスがお酒に溶け出しにくくなります。
これを氷砂糖にしますと、糖分がなかなかお酒に溶けだしません。
梅の実の方がお酒より糖分が高いため、梅の実の糖分の濃度を下げようとする
内向きの圧力がかかり、さきほどとは逆に梅の実の方がお酒を吸います。
ここからが本番です。
氷砂糖は少しずつ溶けていくので、お酒の糖分は徐々に高くなります。
すると、梅の実が吸った糖分の低いお酒から、糖分の高い周りのお酒に対し、
徐々に外向きの圧力がかかり、梅のエキスがゆっくりお酒に溶けだしていく、
という仕組みになっています。
時間をかけておいしい梅酒を作る、そのための知恵というわけですね。
梅酒に含まれる成分として、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸などがあります。
夏は発汗が多くなりますが、そうすると体内に乳酸がたまりやすくなります。
この乳酸が疲労の元ですが、クエン酸は乳酸値を下げる働きがあり、
夏バテ予防に効果があります。
そしてリンゴ酸やコハク酸もクエン酸と同様の効果を持ち、
クエン酸と一緒に摂ることでより効果が増すと言われています。
食欲が後退しがちな夏にあって、梅酒の甘酸っぱくてサッパリした飲み口も
食欲を増進させる働きがあり、ますます夏にぴったりの飲み物と言えます。
今回のおすすめどんぐりメニューですが、ずばり「梅酒」です。
どんぐりでは「黒糖梅酒」「南高梅酒」「生姜梅酒」と
3種類の梅酒をご用意しております。
食前・食中のどちらに飲んでいただくのにも最適です。
メニューではロックとソーダを記載させていただいておりますが、
お好みで水割り、お湯割り等もご対応させていただきます。
それでは今回はこの辺で。